January 4, 2007

クロアチアで最も有名な昔話とは?



大晦日の日記「親指姫」の続きです。

親指姫の童話を書いたのは、かの有名なアンデルセン。しかし、なぜ北欧出身のアンデルセンがボスニア・ヘルツェゴビナで切手になったのでしょうか。

答えは単純・・・この切手が発行されたのが2005年で、そのちょうど200年前の1805年4月2日に、アンデルセンはデンマークで誕生しました。つまり、アンデルセンの生誕200年を祝う切手だったんです^ ^ 切手の発行日も2005年の4月2日でした。

それと併せて発行されたのが先述の写真の右(大晦日の日記「親指姫」を参照)、ティンティリニッチ(Tintilinić)の切手です。ティンティリニッチは、クロアチアの童話に登場するキャラクターで、作者は「クロアチアのアンデルセン」と称されるイヴァナ・ブルリッチ=マジュラニッチ(日本語ではイワナ・ブルリッチ=マジュラニッチと表記されたりもします)、そうです、あの「ヤゴル」のお話を書いた女性です。以前も書きましたとおり、ボスニア・ヘルツェゴビナには郵便事業を受け持つ団体が3つあり(クロアチア系、セルビア系、ムスリム系)、この切手はそのうちのクロアチア系の郵便局が発行したものです。

クロアチアで最も有名な昔話は何?

かつて私たちは、クロアチアの人たちに、「最も古くて有名なクロアチアの童話(昔話)は何?」という質問をしたことがあります。日本ならば、かぐや姫とか一寸法師、舌切り雀、花さかじいさん、桃太郎、鶴の恩返し、浦島太郎、などなど、国民の誰もが知っている昔話がたくさんあって、それぞれ日本人の道徳心に深く結びついていますよね。クロアチアではどうなのでしょう。

まず、20代の人たちに聞きましたところ、グリム童話やアンデルセンのような外国の昔話しか思いつかない、と言われてしまいました。バルカン半島に範囲を広げても、全然思いつかない、と。唯一出てきた名前がイヴァナ・ブルリッチ=マジュラニッチでしたが、すごく有名だけれど実際には読んだことがないという人がほとんどでした。また、イヴァナ・ブルリッチ=マジュラニッチのことを全く知らない人もいました。

次に50代の人たちに聞くと、童話として最初に名前が出てくるのはやっぱりアンデルセンで、クロアチア独自の童話・昔話は「全然知らない・・・。」じゃあイヴァナ・ブルリッチ=マジュラニッチは?と尋ねると、「ああ、そうそう!イヴァナ・ブルリッチ=マジュラニッチね!でも、イヴァナの話は、昔話というより物語だよ。」

別の50代の人は、クロアチアで一番有名な昔話は?と聞かれてすぐに、「イヴァナ・ブルリッチ=マジュラニッチの『昔々の物語』」と答えてくれました。

イヴァナ・ブルリッチ=マジュラニッチ (1874-1938) は宮沢賢治(1896-1933) と年代が近いことからもわかるように、昔話というよりは童話とか物語に位置づけられるようです。また、イヴァナが書いた原作は、一昔前のクロアチア語で書かれているため、現代のクロアチアの子供たちには読みにくく、本物の原文で読んだことがある人は少ないようでした。母国の昔話を読みたくても、それがあまり存在しない国もあるんですね・・・。日本の昔話をたくさん読めるわたしたち日本人は、実はとても幸運なのかもしれませんよ?!

イヴァナ・ブルリッチ=マジュラニッチの『昔々の物語』という作品集の中に、私たちが大好きな「ヤゴル」というお話があります。興味があるかたは、下のリンクでどうぞ。(翻訳の後半は作業中のため未完成ですが。)

関連サイト:「クロアチアの童話」

当サイト内に掲載されている内容・コンテンツの無断転用ならびに無断転載をお断り致します。
ご協力ありがとうございます。