March 13, 2006

ミロシェビッチ元大統領の死



3月11日に旧ユーゴスラビアのミロシェビッチ元大統領がハーグスヘーフェニンゲン拘置所で急死したことが世界の一大ニュースになっていますね。
自殺か毒殺か心筋梗塞か、と国際法廷のスキャンダルにまで発展しそうな勢いです。さすがに大物戦犯の死とあって、詳しく検死されるようでよかった。ここで私がどうしても気になってしまうのが、ミロシェビッチ元大統領の死の約1週間前に同スヘーフェニンゲン拘置所で自殺したとされているミラン・バビッチ氏なんです。バビッチ氏もちゃんと詳しく検死してもらえたのでしょうかね??当時、クロアチアの主要紙ヴェチェルニ・リストなどが、他殺の可能性を指摘していました。しかし、死体で発見された日の翌日には、旧ユーゴスラビア国際戦犯法廷の公式ホームページで「自殺」と断定して発表されています。(“After conducting an investigation, they confirmed that the cause of death was suicide.”)
バビッチ氏はセルビア人ですし、クロアチア人の多くにとっては憎むべき存在でした。でも、そんなクロアチア人の友人でさえこの発表を見たときには、「え、断定するには早すぎるんじゃない?ちゃんと調べたの?」と思ったそうです。検死をするとそれなりの日数がかかるでしょうに、バビッチ氏の自殺はあまりにも断定が早かったので、まるで国際法廷の内部が何かを揉み消しているような印象を受けたと言っていました。

戦犯の急死が一週間に2回も

上の記事は、「ミラン・バビッチは自分で首を吊ったのか、それとも殺されたのか?」というような見出しがついています。これによると、バビッチ氏は自分を含めセルビアの政治家や軍人が戦争中に犯した罪を告白し謝罪したため、セルビアでは史上最悪の裏切り者の一人とみなされているそうです。

拘置所では、バビッチ氏の身を守るためほかの収容者から隔離し、ビデオレコーダーもない場所で、看守が30分おきに見回っていました。午後6時の見回りの時は特別変わった様子もなかったのですが、6時半の見回りのときに、首を吊って死んでいるのが発見されました。バビッチ氏は、旧ユーゴスラビアの諜報機関に属していた高官などについて、国際法廷で証言する予定になっていたので、スパイにより自殺に見せかけて殺害された可能性が無きにしもあらず・・・だそうです。判事の一人が、詳しい死因に関してさらなる調査を申し立てたということですが、一体どうなったのでしょうか。気になります。

このときの他殺説は国際的には話題にならず、自殺としてあっさり片付いていたように見えました。また、誰かから脅かされて(家族を守るために)自殺するしかなかったのではないかという説もありました。その6日後、ミロシェビッチ氏が同拘置所内で急死し、今度は本当に自殺から他殺まで、いろいろな説が世界のニュースになっています。毒物使用に関する2次検査の結果が数日内に出るということです。真相がどうであれ、クロアチアでもセルビアでも、国際戦犯法廷に対する不信がますます強くなっているのは確かです。

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